人気のない夜の公園は静かで電灯に当たる虫の音がやけに大きく感じた。
ゆっくりと顔を離すと千花は大きく息を吸った。
『もしかして、ずっと息止めてたの?』
『………え………い、いつしていいのか分からなくて…』
こういう所が純粋で可愛いんだよな。
そして同時に俺のスイッチが入ってしまった。
『それなら教えてあげるよ』
俺は再びキスをすると今度はゆっくりと重ね合わせた。
戸惑っていた千花も徐々に慣れてきたのか、手を引かなくても後ろに仰け反らない。
『-------------千花』
そう名前を呼んだ瞬間、俺は深い深いキスをした。
『………っ……』
驚いている千花を無視して俺の手は徐々に上へ上がっていく。そして胸にたどり着く寸前で千花は俺を突き飛ばした。
『ま、待ってっ!』
呼吸の荒くなった千花は少し泣きそうな顔をしていた。
『……あ、ご、ごめんなさい……』
突き飛ばしてしまった罪悪感なのか、千花は何度も謝った。
『で、でもこれ以上はその………
本当にごめんなさい……』
千花に恋愛経験がないのは知ってる。
俺だってこんな公園で初めてを奪おうなんて思ってない。
だけど夜の公園でベンチに座って、お喋りしてばいばいなんて、そんな清く正しい付き合い方なんて知らない。