君はガラスの靴を置いていく





『-------------着いたよ』

そう言って自転車を停めた先は以前千花と来た事がある場所だった。


『あ、ここってあの神社?』

そう、千花と付き合う前に来た恋が叶うあの神社。

境内(けいだい)の中は相変わらず四つ葉のクローバーでいっぱいだった。多分ここは地元の人しか来ないから、荒らされずに綺麗なんだと思う。

千花は四つ葉のクローバーを一つ取ると突然笑いはじめた。


『どうしたの?』


『ううん、ただ…………
本当に恋の神様が居るんだなって』


あの時の千花はまだ表情が固くて、こんな笑顔は見せてくれなかった。きっと今は心を許してくれてるんだなって思う。


『…………千花はあの時、
俺と付き合うって思ってた?』


『ま、まさか。だって洋平君は明日香ちゃんと付き合ってるって思ってたし、こうなるなんて全然………』


でも俺は思ってたよ。

あの時点で、俺は絶対千花と付き合えるって。


千花にとって俺が“彼氏”になった時から、俺への存在価値がガラリと変わった。

それなら俺は?
あの時から何か変わっただろうか。