かさの向こうに縁あり

口元を緩めて頷いてみせると、彼は「そう、良かった」と子供っぽい笑顔を見せた。



「実はその煮物、そこら辺の虫なんだよねえ……」



平助は笑ったままそう言った。

思わず動かしていた口を止め、彼を凝視する。

彼は私の視線に、ただ「本当だよ」と言うように笑って二回程頷かれた。


一瞬で顔が青ざめていくような気がする。


虫なんて食べたことがあるわけない。

というよりも、食べようとなんか思うわけがない……!


口で噛んでいた物を吐き出したくなった。

それは当然の反応だ。


だって普通のおいしい煮物だと思っていたのだから!




「冗談だよ!真に受けちゃった?ごめん、ごめん」



突然、はははっと豪快に笑われる。


私の思考回路は一瞬にして止まった。

何がなんやらよく分からない。


少し経ってからようやく分かったのは、私は平助にからかわれていたこと……

私は頬を膨らませて、彼を見つめた。