かさの向こうに縁あり

もう何度その言葉を耳にしただろう。


引剥ぎだと言って襲ってきた三人の男性、そして新選組の副長・土方歳三……

生粋の日本人であるのにそう認められないことが、悲しくて堪らない。


耳にする言葉から逃げたくて、逃げられないと分かっていながら、私は俯いて前に進んだ。


でもふと苑さんが進める足を緩めると、後ろを振り返り顔を覗き込んできた。



「気にしない気にしない!もうすぐそこだよ。ね?」



この女性は差別しない人なんだ。

一瞬にして思考回路が紡いだ言葉は、そんなものだった。


この人と一緒にいれば、この時代でも生きていける気がする。

そして同時に、顔を上げて歩いてみよう、という気になった。



暫く無言のまま歩くと、目の前に大きな朱色の門が現れた。


あれ、ここはもしかして。

“祇園社”と言われて分からなかったけれど、ここは現代にもある八坂神社だということに気づく。

行ったことはないけれど、この門の写真はよく見る。



「せっかくだから、お参りしていこうか」



そう微笑んで言われ、私は快く頷く。

鳥居の前にある数段の階段を、下駄の音を響かせて上った。