「ごちそうさま」


「あら、早いわね」



早々と朝食の食パン二切れを食べ終え、食器を片づけ、そして制服に着替える。

全ての用意が整うと、玄関に行き靴を履く。


これが毎日繰り返している動作。



「夕立になるっていうから、傘持って行きなさい」



靴を履き始めた時、母が玄関にやってきてはそんなことを言った。



「傘は邪魔になるし、それにチャリ通で傘はきついし」


「確かにそうね。折りたたみ傘は持った?」


「うん」


「じゃ、行ってらっしゃい」


「行ってきまーす」



言いながらドアを押し、外の新鮮な空気を吸い込む。

梅雨のじめじめとした嫌な空気が私の体に纏わりつく。


それを気にせずに、チャリに乗って右足、左足と交互に力を入れた。




起きた時に晴れ晴れとしていた空は、学校に近づくにつれて雲が増え、最後の授業が終わった頃には曇天になっていた。