かさの向こうに縁あり

いよいよ正面に門の出入口がはっきりと見えた。


このまま歩いていたら捕まるから、走ろう。

走って走って、新選組に、平助に見つからないような場所まで走ろう。


一度門の裏に隠れて、門番の様子を確認する。

門番はこれまた運良く、うとうとして今にも立ち寝しそうな2人だった。


ーー行ける、行こう。


そう確信した私は、そっと門を走り抜けることにした。



そしてすぐに門の裏から勢い良く地を蹴って、飛び出した。


地面の乾燥した土が、足の裏に直接触れたような違和感を感じる。

普通なら直接触れることはない。

でもよく考えてみれば、裸足のまま出てきてしまったことに気がつく。



2人の門番は、やはり立って寝ていた。


その為、気づかれることなく、無事に私は“人斬り集団の住処”を脱け出すことに成功した。



「ん……今、何か通ったか?」


「いや、何も通ってない。猫じゃないか?」


「そうか」



私が走り抜けた所為で一瞬吹いた風に気づいた門番2人は、そこを通ったものが人だということに、全く気づかないようだった。