かさの向こうに縁あり

「新選組っていう、京の治安を守る幕府の部隊。そして俺は、ここの八番隊組長ってわけさ」



私の小さな脳の内は、今まで以上のパニックに陥った。

確かに、三人の男性に助けてもらった時、“新選組八番隊組長”と名乗っていたのを思い出す。


ああ、そうか。


……なんていう納得の感情よりも先に、身が震えるような感覚になったのだ。



「妃依ちゃん?」



思考回路が停止するのと共に、一切の動きも停止していた為、平助が顔を覗き込む。


停止したのはある一つの理由があるから。


それは、この間父が好きな時代劇を見ていた時、偶然私がそれを見てしまった時のことだーー



「昔の人にしたら結構派手な服着てるね、この人達」



私が無神経にもそんなことを呟いた。

それを聞き逃さなかった父が、すかさず目を輝かせて私の方を見て、詳しく説明し始めてしまったのだ。


歴史には無関心の私は、話半分にも聞いていなかった。