かさの向こうに縁あり

なんで、どうして?


そう思えば思うほど、何故か藤堂平助の顔に注目してしまう。



「俺のことは平助でいいからね……何か俺の顔、変?」



ずっと見つめていたからか、やはり変に思われた。

焦りながら急いで目を逸らす。


それにしても、自分の顔が変か、なんて聞く人は初めてだった。

思わず、ふっと笑ってしまった。



「やっぱり何か変?遠慮なくどこが変か言って!」



その台詞が面白いということを伝えようと、私は紙に書く。



『平助さんのその台詞が面白いんです』



私らしくなく敬語でそう書き、藤堂平助はそれを覗くなり苦笑した。

何がおかしいのか、というつもりで、首を軽く傾げる。



「平助に“さん”はなしでいいよ。それから敬語もね!」



にっと白い歯を見せながら、子供じみた笑顔を向けた。

瞬間、太陽のような輝きに、私の頬は熱さを覚える。


なんて幼い人なんだろう、とは思ったが、藤堂平助……平助は私よりも年上なような気がした。

ただ、それはほんの一瞬、刹那にも満たないほどの時間だったのだけれど。


気を取り直して、笑顔でこくりと頷いた。