かさの向こうに縁あり

副長さんが「早く入れ」と言わんばかりの視線を向けてきたから、早々に部屋に入って障子を閉める。



「聞いてたわけじゃねえ、聞こえただけだ」


「盗み聞きしてた人はみんなそう言うんですよ」


「そいつらと俺を一緒にするなよ」



そう言いつつも副長さんは機嫌がいいらしく、不気味なほどにやけている。

でも私がさっさと座ると、その表情は消えた。

相談にのってくれる体勢になってくれたようだ。



「……ま、本題に入れ。今日は何用だ」



言い方こそきついけれど、もうそれに怖さを感じなくなっていた。

逆に親しみを感じつつある。


だから私は、不思議なことに、この人に話そうと容易に思えたんだ。

それはきっと、話を聞いてくれない人ではないと、知っているからだ。



「……さっき、昨日私が行った所にお昼頃来てほしいって藤堂さんが言ってるっていう伝言を受けたんです。これ、信じて大丈夫だと思います?」




「あ、ちなみに、藤堂さんには散歩途中で偶然会って、そこに一緒に行ったんですけど」と付け加える。

それを言わないと、おかしな話になってしまうから。


何も知らない話だろうに、副長さんはすでに耳にしたことがあるように構えている。

何かを考えているんだろうけれど、それは私には読めない。