かさの向こうに縁あり

いつの間にか銃声の聞こえなくなっていた、音が遮られているような空間で、彼の姿があった方を暫く見つめる。

なんだかなあ、と思いながら。



「――おいおい。呆気ない関係だなあ、お前ら」



そう。
なんだか、思ったよりも“別れ”って呆気ない。


私自身、別れ際って得意ではなくて、普段から冷めている性格がさらにそれを極めて適当になってしまうけれど、今回のはまたそれとは違っていて。

変な気分だ……って。



「やっぱり聞いてたんですね?土方副長」



私をこんな考えに追い込んだのは、障子の向こうにいたらしい副長さんの言葉が原因だったようだ。

どうやら彼の声は、私の脳内の中で流れた自分の声の一部のように聞こえていたらしい。


声がした所であろう私のすぐ横の部屋の障子を開けると、やはりそこには彼がいた。

胡座をかいて腕を組み、にっと口の端を意地悪げに上げながら、こちらを向いていた。


障子を引きずる微かな音も耳に届かないくらい、私は平助に注目していたらしい。


まさか副長さんがここにいたとは。

というよりは、まさかここが彼の部屋だったとは……平助に気を取られて、うっかりしていた。