かさの向こうに縁あり

嫌だなあ、なんて思っていると、音は鳴り止み、ほぼ同時にすぐ近くから足音が聞こえてきた。



「――お、ひよこじゃねえか」



そう言って、縁側の角を曲がって正面からやってきたのは、副長さんだった。

その姿を確認した私は、とにかく今の驚きを訴えたくて、勢いのまま、口から出たままに彼に叫ぶようにして言い放った。



「副長……!あの、今の音は何なんですか!かなり、すごく、びっくりしたんですけど!」


「何だよ、いつもより元気良すぎで耳が痛いから落ち着いて話せ……」



私を宥めようと肩を掴んだ手には、僅かに力が篭っている。

それに、「頼むから静かにしろ」とは言わなかったけれど、やんわりと怒り、そしてその語尾には怒りのマークが付いているような気がした。


そうだった、この人はすごく怒る人だったと思い直して、「す、すみません……」と平謝りする。

彼は痛みを感じない程度にポンと私の肩を叩くと、そっとそこから手を離した。


ふーっと深呼吸を一つして落ち着いたところで、彼に問い直す。



「……で。その、さっきの音は何だったんですか?」



副長さんは、建物の陰で見えないであろう調練の場所を見るように、自分の背後をちらっと振り返った。