今は24歳だという。
私より8歳も年上の人と敬語も使わずに話しているのか……と思うと、申し訳なくなるのと同時に、なんだか兄弟のような気にもなってきた。
なんでも彼の話によると、“藤堂なんとか”という殿様(※)の御落胤だと母親に聞かされてきた、とか。
でもそれについては、「きっと真実じゃないから、信じないでね」と笑いながら言っていた。
「妃依ちゃんも、話せる程度に教えて?」
「うん、もちろん」
一通り彼の身の上話は終わり、今度は私の番になった。
正直、どう話せばいいのか迷った。
時代が違いすぎるせいで、自分のことすらどう話せばいいか迷うなんて、この時代に来るまで想像もしなかったことだ。
だけれど、とりあえず基本情報だけでも教えなければ、と嘘を交えつつ話すことにした。
生まれは常陸国、家は農家、父は本当の父ではなく母の再婚相手、兄弟はいなくて……というように。
三つ目のことに関しては少しだけ声色を変えて言ったからか、平助はくすくすと笑っていた。
すると、名字があるし学もあるようだから、家は地主みたいなものなのか、と問われた。
そんなことを問われるとは考えもしなかったから、返答に詰まる。
「まあ……そんな感じ」
「へー、じゃあ土方さんのご実家みたいな感じかな」
「え……あの人も家は農家なの?」
「そう。意外だと思うけど、“お大尽”って呼ばれる豪農の出身なんだよ。他にも武士の家柄でない人が結構いるんだ、新選組には」
「そうなんだ……」
初めて耳にしたそのことは、とても不思議だった。
※津藩第11代藩主 藤堂和泉守高猷
私より8歳も年上の人と敬語も使わずに話しているのか……と思うと、申し訳なくなるのと同時に、なんだか兄弟のような気にもなってきた。
なんでも彼の話によると、“藤堂なんとか”という殿様(※)の御落胤だと母親に聞かされてきた、とか。
でもそれについては、「きっと真実じゃないから、信じないでね」と笑いながら言っていた。
「妃依ちゃんも、話せる程度に教えて?」
「うん、もちろん」
一通り彼の身の上話は終わり、今度は私の番になった。
正直、どう話せばいいのか迷った。
時代が違いすぎるせいで、自分のことすらどう話せばいいか迷うなんて、この時代に来るまで想像もしなかったことだ。
だけれど、とりあえず基本情報だけでも教えなければ、と嘘を交えつつ話すことにした。
生まれは常陸国、家は農家、父は本当の父ではなく母の再婚相手、兄弟はいなくて……というように。
三つ目のことに関しては少しだけ声色を変えて言ったからか、平助はくすくすと笑っていた。
すると、名字があるし学もあるようだから、家は地主みたいなものなのか、と問われた。
そんなことを問われるとは考えもしなかったから、返答に詰まる。
「まあ……そんな感じ」
「へー、じゃあ土方さんのご実家みたいな感じかな」
「え……あの人も家は農家なの?」
「そう。意外だと思うけど、“お大尽”って呼ばれる豪農の出身なんだよ。他にも武士の家柄でない人が結構いるんだ、新選組には」
「そうなんだ……」
初めて耳にしたそのことは、とても不思議だった。
※津藩第11代藩主 藤堂和泉守高猷



