かさの向こうに縁あり

「……そりゃいないか」



見られていたと思われる方向、私が出てきた西本願寺方面を数秒睨んだけれど、そこには誰もいなかった。

不思議そうにこちらを見る町の人達だけだ。

もしかしたら、彼らが私をじっと見ていた、あるいは睨んでいたのだろうか。


ふぅ、と息を吐き、とりあえず気持ちを落ち着かせてから、下を向きながらゆっくりと前に向き直る。


そして足を踏み出そうとした瞬間。


下を向いていた私がこの目に捉えたのは自分以外の人の影と足だった。



それも私の影に重なる影、それを踏むこちらに向く足。

ーー目の前に誰かが立っている。



視線を背後から感じた、と思ったけれど、その私を見ていた人は私がその方を見ていた隙にいつの間にか私の背後に回っていた、ということだろうか。

それは神業すぎるけれど。


でもこれはまずい。


すぐに死を直感して、上を向くことができない。

顎から首筋にかけて冷や汗が流れる。


私はここで終わりなのだろうかーー


そう思ったとき、目の前の人が私の顔を覗き込んだ。