かさの向こうに縁あり

私が生唾を呑み込んだ時、副長さんは呆れながらも説明してくれた。



「いいか、佐幕派ってのはな、簡単に言うと幕府を補佐する、幕府に忠節を尽くす人達のことだ。逆に勤皇は、天子様に忠義を尽くすことだ。で、先の天子様は孝明天皇。分かったか?」


「はい……」


「女には理解しがたいことかもしれないがな」


「女でも理解しましたよ……」



「分からなかったのには他にちゃんと理由があるんですよ……」と言ってしまいたいくらいだった。

が、まさか本当には言わない。

言ったら、ただ怪しまれるだけだ。


とりあえず、なるほど、と納得した。



「ま、そんなわけだ。誰にも口外するなよ」


「はい……」


「それと平助にも、この話を聞いたことを話すな。悟られないようにしろ。分かったな」


「……分かりました」



平助に黙っている。

それは彼に対して隠し事をする、ということだ。


これから色々な話をしよう、そう言ったばかりなのに。


彼は私に隠し事をしていた。

私も今、副長さんに聞いた話を隠さなければならない、だなんて。


これは……その件にはお互いに触れないでおくしかない、ということか。