かさの向こうに縁あり

砂漠派って、砂系の観光名所で砂漠と砂丘のどっちが好きか、みたいな話だと思った。

私には砂漠と砂丘なんて、ほぼ同じに見えるけど……なんてことは今はどうでもいい。


それと同様に、何故“天使”に“様”まで付けて呼んでいるんだ、とただ思った。


どちらも馬鹿丸出しな考えだと、さすがに自分でも思う。

でも仕方ない、この時代の細かい事情なんて、私は何も知らない。


彼はついには、眉間に皺を寄せた。



「驚いたな……お前は本当に何も知らないんだな!」


「し、仕方ないじゃないですか!だって私……!」



そこまで言って、はっとした。


『……だって私、この時代の人間じゃないんですから!』


はっきりとそう言おうとしてしまった。

これは言ってはいけない、絶対に。


副長さんは黙って私を見続けている。


言ってはいけない。
悟られてもいけない。


私が未来の人間だなんて言っても、きっと「お前、頭大丈夫か」と言われるだけだろう。

でも、それだけのことでも言ってはいけない気がしてならない。


ここにいられなくなるのが怖くてーー