かさの向こうに縁あり

“平助が隊を離れる”って、それって……!


それなのに、いや、それにしてはこの人の口調は淡々としすぎている。

どうしてだろう。


疑問と混乱と、不安しか頭に浮かばない。

それくらい、私の頭の中が一瞬にして真っ白になった。


その間に、また淡々とした口調のまま、彼は説明を付け加えた。



「お前は知らねえだろうけどな、隊に伊東甲子太郎っていう参謀がいる。簡単に言うと、そいつが隊の十数人を引き連れて、脱隊しやがるって話だ」


「……脱隊!?それって普通なら……」


「そうだ、よく分かってるな。普通なら切腹もんだよ」



特別、何を知っている、というわけでもない。

でも、ただ、その後の処遇だけは想像しやすかった。


新選組では、脱隊した者は切腹させられる。

きっとそれは、ここの厳しいルールの単なる一部に過ぎないんだろう。



「なら何故……切腹にはならないんですか?」



副長さんは私の率直な疑問を受けて、少し間をおいた。

何かを躊躇っているような雰囲気だ。