かさの向こうに縁あり

「あ?今何か言ったろ」


「え?誰が」


「お前がだよ!」



大声を出されてびくっとするけど、今のは完全に私が悪い。


もっと怒鳴られるのでは……と思って副長さんの顔を覗いたけれど、彼はすでにいつもの表情に戻っている。

こちらとしては面食らった感じになってしまった。



「ったく……こっちは忙しいから手短に話すぞ」


「どうぞ」



「はいはい、早くしろってさっき私言いましたよね」とでも言ってやりたかったけれど、次にそんなことを言った暁には……

と、こういう状況になると、私は常に同じことを考えているみたいだ。


でもとりあえず、副長さんの言葉を待とう、そう思った。


何を話されるんだろう。

この人、いつになく真剣な表情のような気がする。



平助に、何かあったんだろうかーー



ふっと意識が奥に流れていったとき、副長さんはようやく口を開いた。



「平助は近々、隊を離れることになってんだ」


「え……え?」



それは、一瞬では到底理解しがたいことだった。