かさの向こうに縁あり

「妃依です!!」


「……ひよこ、お前喋れるんじゃねえか!」



だから妃依だって言ってるじゃないですか!


声が出るからそんなことも本当は言えるのだけれど、それを言ったらきっと私の命はない。

この人はそういう人だ。


あ、でもそれは誤解だと一昨日教えられたばかりだったっけ……

それでもこの威圧では、そう思わざるをえないと思うのだけれど。


土方歳三……副長さんは、私が声が出るようになったことに対して一瞬驚いたみたいだけれど、ふっと鼻で笑った。



「……まあ何でもいい。とりあえず俺の部屋に来てくれ」


「え?何故……」


「ちと少しばかり、話がある」


「……はい?」



こんな人と話すことなんて、何かあっただろうか……


一瞬にして頭が真っ白になるような気分になる。


早く来い、と副長さんが言うから、仕方なくご飯を食べずにその背中を追った。