かさの向こうに縁あり

彼が去る姿を終始見つめる。


声が出て嬉しいはずなのに、何だか心はすっきりしていない。

平助のことなんて考えなければ、そんなことはなかったはずなのに。


……というよりも。


何故、私は平助のことをもっと知りたいと思っているんだろう……?


平助のことが、そんなに気になっているってこと……?



そのことも、前から薄々気づいていたけれど。

でも……まさか私に限ってそんなこと、あるはずがない。



はあ、と溜め息を吐く。


嬉しい気持ちは、すでにどこかに消えていた。

縁側の方を見ると、原田さん達もいつの間にかいなくなっている。



そんな静まり返った縁側に、一人の足音が響き始めた。


また、誰かがやってくる。

原田さん達の他にも、この屯所には覗きがいるのだろうか。


なんて思いつつ、布団から出ずに待ち構えていると、そこに現れたのは意外な人物だった。



「……おい、“ひよこ”」



副長、土方 歳三だ。


いや、問題はそこじゃない。


今、何て言った?

“ひよこ”、って言わなかった?


命懸けの自己紹介を覚えていないのか、この人は……!