かさの向こうに縁あり

そう意気込んだところで。


まずは膳に箸を置いて、手を合わせる。

それから布団を畳み、端に寄せる。


布団を畳む間、早速練習を始めてみることにした。



「はー……」



「あー」と言っているつもりでも、空気だけが漏れて音にならない感じ。


やっぱり無理なのかな、と思いつつ、とりあえず何度も試してみる。

それでもまだ出ない。


始めから出るなんて思っていなかったから、一旦やめた。


着替えないと、と思って辺りを見渡す。


床の間に、綺麗な柄の着物が置いてある。

昨日着ていたものだ。

そう、苑さんに着付けてもらったもの。


あの時は苑さんに着付けてもらったから、ちゃんと着られていたわけだけど……


一人でどうやって着れば……!


男所帯だから頼れる人もいない。


ああ、じゃあもうどうすればいいんだ……っ!

もういっそこのままで……



そう困り果てていた時、障子から熱い視線を感じた。


うん、これはいつものあの人に違いない。

そう確信して、私はその方へゆっくりと視線を移した。