一対一ではサイには勝てない。まして疲労しているアグロでは、サイの攻撃を防ぐ手立てもないだろう。


サイは右手に魔力を集めると、空色の球体が掌に生まれる。


「終わりにしよう」


腕を振るうと、空色の球体が放たれた。


真っすぐアグロへと向かう攻撃。


アグロは剣を頭上に掲げ、勢いよく振り下ろす。


剣圧で大気を切り裂き、衝撃波が生まれ空色の球体に激突する。


まだこれほどの力を残していたのか……!


二つの攻撃は相殺され、残されたエネルギーは突風を起こし、黒い大地を巻き上げる。


視界は奪われ数センチ先の様子も確認出来ない。


だが奴は来るだろう。


目を見えなくとも、互いの気配と魔力で大体の位置関係は把握可能だ。