「……さきほど議会の決議案に、私の署名が書き込まれた」 一瞬、視線が伏せられる。 僅かな表情の変化を、マリは見逃さなかった。 「署名って、なに?」 マリの問いに、ケイは変わらぬ冷酷な口調で答えた。 「ネシオル王国とアモール帝国の二カ国間で締結された“休戦条約の破棄案”だ」 ケイは言った。 「戦争の再開だ。勇者殿」