王都セイシアン。


その中央に建築された王宮には、この国を治める王族と、極一部の関係者のみが入ることを許された禁断のエリアである。


広大な宮内。政治などの中枢機関を担う場所でもある王宮の一角に、王族ではなく四聖官の執務室が割り当てられていた。


タッタッタッ。


静寂が支配する王宮の廊下に、慌ただしい足音が木霊する。


足音の主はある一室の扉の前で立ち止まると、深く深呼吸をしてからノックをした。


コンコンコン。失礼しますと一言述べて、扉を開ける。


飛び込んできたのは、ありえないほど広い空間。


壁は全て棚となっており、全ての棚には見たこともない分厚い本が所狭しと収納され、また別の一角にはなにに使用されるのかわからない摩訶不思議な道具や、気味の悪い生物のホルマリン漬けが置かれている。


これではまるで図書館か博物館だ。


初めて見る四聖官の一室に、シキは正直面喰った。