「オレオって勇者なんでしょ」


町は寝静まり、辺りは闇に包まれる。


討伐隊への引渡しの手続きやら何やらで、結局もう一泊した三人。


オレオはすぐに床につき、コーズはマリの部屋で晩酌を楽しんでいた。


そんな中、突拍子もなく言われた言葉。


コーズは驚きの表情を覗かせたが、すぐに苦笑を浮かべてグラスをテーブルに置いた。


「もう酔ってんのか?」


「残念ながら、まだまだイケるわよ」


ですよねー。と心の中で呟いて、マリにどう説明しようかなと思案を巡らせた。


マリにオレオが勇者の血筋であることは伝えていない。


もちろん旅の目的も伏せている。目的がバレれば、オレオが勇者であると自ら証明しているようなものだ。


酒場でマリに旅の理由を聞かれたが、そこはうまくはぐらかして誤魔化したが、今度はそうもいきそうにない。