店に入ってきたヤツは、俺を見た。
知り合いだったことに酷くムカつく。
だけどアイツだったから、逆に落ち着いた。
まだ速い心臓の鼓動は、発作のせいか?
深い深呼吸をすます。
まだ立ち俺の背中を必死で擦る少女Aを軽く見つめた。
「もういいから。座って。サンキューな。」
頬を紅潮させ座る少女Aを肘でつつく両サイドの少女。
だが問題は違うところにある。
「圭!」
張り付いていたのは圭。
何故ここにいるんだ。とか
何故張り付いていた?
とか。
とりあえず無視。
言いたいことは一つ。
「俺を殺す気か!!」
理解出来ない。首を傾げる圭に軽く殺意を覚える。
「チッ…死ななかったか…」
舌打ちと共に聞こえた言葉に、ため息一つ。
「酷いよ!謝って!!」
ジョークだとわからないのか…
少女Aは圭を睨んだ。
「なんで?」
疑問の多い圭は俺を見た。
「少女A。いいから。」
なだめても聞かない。
ったく…嫉妬か?
「少女Aってなに?
…この人のせいで朽木君死にかけたんだよ?」
おいおい…
ドラマの見すぎ。
「は?何いってんの?」
まともな圭は聞き返した。
まぁ二人とも正論だから、ここは温厚にいきましょうよ〜。
微妙に修羅場チックでボクチン嫌だな〜。とぉっても居ずらいのよ。
「あれだけじゃ死なない。心臓が突然の驚きに耐えられないほどモロイなんてあり得ないから。その証拠に呼吸も安定してるでしょ?」
嗚呼。忘れていた。
圭は普通じゃない。
「は?あなた何者?」
うろたえる少女A。
「医者の娘。」
答えに詰まる圭に助け船を出し、俺は席を立った。



