同時刻アトランテ基地。


「休暇はどうだったかね?舞鶴少尉?」


 通信機越しに聞こえる上官の声は、生で聞くより、若干高く聞こえる。


 どちらにしろ彼の声は低く聞き取りにくいので、若干高いほうが聞き取りやすくて助かる。


「どうといわれましても・・・。少し変わった人物に出くわしたぐらいですね。」


「変わった人物?」


「うまくは説明できないですがね・・・なんと言うか、全体的に生きている感じがしないというか・・・本当の意味で『死を恐れていない』・・・という感じの人物でした。」


 死を恐れない・・・・・・。


 それは、今この瞬間に死んでもかまわない・・・・という意味・・・。


 前線部隊とは言っていなかったが、もし敵として現れたらもっとも手ごわい手合いとなるだろう・・・。


「少尉が、そんな風に他人のことを言うなんて珍しいな。一目ぼれかね?」


 まさか・・・


「大尉、その発言はセクハラですよ。」


「あ・・・ウオッホン失礼・・・少しでも気を.紛らわそうと思ってだな・・・。」


 なるほど。


 何の脈絡もなしに世間話を振ってきたと思ったら、そういうコトだったのか。


 しかし、それがセクハラまがいの発言とは・・・。


 大尉もだいぶ女性とは縁のない人生を送ってきたのだろうな・・・。