「シロの欲しいものか」 ウチに帰ってからも、僕はまだぼんやり考えていた。 僕の欲しいもの――。 僕の欲しいものに、形はなかった。 温もりだったり、安心だったり、限られた時間だったり、 言葉ではうまくは言えないモノさえある。 そして、僕はそういうモノを、少し手に入れかけているような気がしていた。 僕には“オカネ”なんてナイんだけどね。 外はまた、雨が降ってきた。 残しておいたお菓子を食べて、僕はまた眠った。 雨の季節はもうすぐ終わり また新しい季節が来る。