ご主人はショコラのご主人に向き直ると、

「連絡を下さって、本当にありがとうございました」

と深く頭を下げた。


「実は、去年の春に突然いなくなりましてね。私たちも必死で探したんですが、どうにも見つからなくて……」

「去年の春ですか!?」

それを聞いたショコラのご主人は、とても驚いた様子を見せたけれど、あぁ、だから――と、すぐに納得したような表情に変わった。


「実はこんな布が首輪に縛り付けてありましてね。念の為に広げて見ましたら……」


― 片瀬クロ 090-***-**** ―


それを見たご主人は、目を見開き、言葉を失ってしまった。


その布はシロが以前

「お守りだ」

と言って、僕の首輪に結んだ布だった。


 ご主人は携帯電話を取り出すと、すぐに電話をかけた。


「もしもし、片瀬さんですか?」

ご主人は今、シロと話をしているのだろう。