あの後、シロは劇的な変化をする事もなく、以前と変わらず毎日バイトやら遊びやらで忙しそうにしていた。

ユウコサンとも相変わらず“ぶっきらぼう”に電話で話しているのを、僕は何度も見かけていた。

ちゃんとデートもしているのだろう。



ただ、オバアチャンからの

「ツヨシ、お正月は久しぶりに家に帰ったらどうだい?」

という提案には、

「帰らない。俺はここにいる」

と無表情のままに答えていた。



僕はシロの母さんを見た事があった。

優しそうだったけど、弱々しくもあった。


父さんが厳しいヒトだという事も知っていた。

久しぶりにシロが帰っても、シロの父さんはまるで習慣になっているかのようにシロを批判する事は、僕にも容易に想像できた。


シロはまだそれを受け流せるほどは、強くはないんだ。


「急がなくていいよ」


僕はシロに言った。