…久しぶりに一人になったかもしれない。
九条さんとのことが解決した後も、麻実ちゃんと良明くんは私の傍に居てくれた。
男たちがまだ捕まっていなかったから、警戒していたのかもしれないけれど。

今日、捕まったと聞いて…ようやく全てが終わった気がした。


(冬馬兄ちゃんにも九条さんのこと…話した方がいいよね)


ぼんやりと外を眺めると、並んで歩く麻実ちゃんと良明くんの後ろ姿が見えた。
その姿が見えなくなるまで見送ってから私も教室を出る。


――……。


人通りの多い道を通り、家に帰る。
冬馬兄ちゃんは…まだ帰ってきてない。

部屋の中から冬馬兄ちゃんの家を眺めていた時、ふと、思い出す。


冬馬兄ちゃんの家、昔から鍵が開けっ放しの部屋がある。

…昔はよく親の目を盗んでその部屋から出入りしてたっけ。
行き来してたことはお母さんたちにバレてたけど、昔は「親に内緒の秘密の抜け道」と信じて疑わなかった。

その窓を、久しぶりに開けて通ってみる。


…予想通り、埃まみれになってしまった…。