キズキは獣族の村の森の方へ走っていく。



悔しい、痛い、俺が、俺の方が強いのに……!



そんな気持ちが、キズキの中で破裂しそうなくらい膨らむ。



「痛いわ…キズキは、誰よりも強くなるために努力してたから。だから、この気持ちを見るのは、痛い。」



ヒノエさんの声は震えていた。姉として、弟のこの想いは辛いんだと思う。



俺は繋がったヒノエさんの手を、強く握る。実際の身体じゃないから温もりは伝わらないけど、そうしたかった。