ただの剣だったはずのそれは、刃の根本からギョロッと赤い瞳をひん剥き、えぐい形に変形していく。



「完全体になんて、させるか!」



しかし、ヒノエさんはそれより早く短剣で自らの掌を切り、血を剣に染み込ませた。



すると、短剣に光が集まり、今までに見たことないような力を感じる。



ヒノエさんは膝と足首のバネで飛ぶと、完全体になる前の魔剣に向かって二つの剣を翳した。



「うあああァァァガァァ!」



魔剣が粉砕された瞬間、キズキが叫び、沢山の感情が流れてきた。