「あの人は、本物の馬鹿だ…!」



そして、そんな馬鹿な考えを見抜けなかった俺は、もっと馬鹿だ。



グッと拳を握りしめて唇を噛み締めると、強く噛みすぎて、唇から鉄分の味がする。



昨日、ヒノエさんを助けると誓ったのに…。



悔やんでも悔やんでも、俺にヒノエさんを探す術はない。



ベッドを睨みつけていると、俺の携帯が鳴り響く。



こんな時に、一体誰だよ。



そう思いながらディスプレイを見ると、長谷部君だった。