『貴方は、誰?』



綺麗な高い声が優しく響く。この声は…あの時聞こえた歌声か?



『クロエ、と呼んでくれ。お前は修道女か。』



『そうよ。それより、どうして棺の中にいたの?』



穏やかな少女にクロエは警戒する。



それは、聖職者が唯一、魔界の者へ対する防衛術を知っているからだ。



『聞かない方がいいみたいね。貴方、魔物なのよね?』



『…そういうこと。大丈夫。君に危害を加えたりは、しないから。』



そう言ったクロエにニッコリ笑う少女。そんな彼女にクロエの心はじんわりと温かくなった。