その日はここ数年の中で、記録的な豪雨となった。



「天気予報外れましたね。昨日は晴れって言ってたのに。」



俺は窓の外を見つめ溜息を漏らす。



「タクシー呼んで。これじゃあ歩けないわ。」



ヒノエさんは雨が嫌いらしく、不機嫌そうにそう言った。



「ヒノエさん、空間移動出来るんだからしたらどうですか?」



「馬鹿ね。誰かに見られたらどうすんのよ?記憶操作したり、後々面倒なのよ。」



意外とそういうこと考えてるんだヒノエさんも。傍若無人なジンガイ様だとばかり思ってたけど。