【完】肉食系上司様〜獣族の女王と獲物の俺〜

ヒノエさんとその弟キズキが成長するにつれて、力の差は開くようになる。



『今日も俺の勝ち。姉さんじゃ相手にならないよ。』



『チッ…！くそ。調子に乗ってんじゃないわよ。』



剣技の組み手をしていた、もう殆ど見覚えのある姿に育ったヒノエさんは、短剣を振りかざす。



しかし、猛スピードで攻めたはずのヒノエさんは、キズキによって簡単に弾かれる。



キズキは振り返ることもなく、自分の使っていた長剣を鞘に戻し歩き出した。



その背中を、ヒノエさんは悔しいという感情を強く表しながらただただ見ていた。