その後、皆の記憶から、名雪さんの記憶は静かに消えて行った。



「なー村瀬!専務なんだけどさぁ、今度取引先の部長の妹と見合いらしいぜ!」



「へえー。そうなんだ。」



名雪さんの存在がなかったことになってしまうのは、彼女の過去を考えるといたたまれない気持ちになる。



でも、俺が、きっとずっと、彼女を忘れない。彼女の過去も、彼女の存在も、彼女を救えなかった自分の不甲斐なさも。



だから、俺はヒノエさんの任務の役に立とう。名雪さんを救えなかった分、俺に備わった変な能力でヒノエさんを支えよう。



ヒノエさんを、住むべき場所へ帰してあげるために……。