解毒されて動くようになった体で、俺は名雪さんだった灰の前にひざまずき、手を結び目を閉じて、祈った。



名雪さんが次に明るい世界に出る時が来たら、どうか幸せになれますように……と。



そんな俺の背中には、ヒノエさんの気配。



ヒノエさんは、俺の背中に小さな声で投げかけた。



「楓ちゃん、私が死んだら、そんな風に泣いてくれる?」



その言葉に、立ち上がり、振り向いた。



ヒノエさんは殆ど人間の状態に戻っていて、でも瞳は金色のままだった。



俺は、彼女になんて答えるべきなのだろうか。彼女は何を求めているのだろうか。