「ご子息は、普段からこのようなお仕事を?」 カプチーノを飲みながら微笑む奥さんは、かなり色っぽい。絵になる。 「あ、ご子息、とかやめて下さい。家族ではありますが、俺は平社員、専務よりずっと下の立場ですので。」 俺が慌てて手を左右に振ると、奥さんはクスリと笑う。 「私は専務でなくて、ただの妻ですから、貴方の目上ではないですよ。名雪で結構です。」 差し出された綺麗な右手。頭のどこかで警告の鈴が鳴っている気がした。 でも、その手を握らずにはいられなかった。