ハフピスライン

「あれは魔力通行石だな、あれがあれば同じものを持つもの同士で、その魔石を通してテレポート出来るんだったっけな」
「ジーク」

いつの間にか今度はジークがいた。

「これを渡してどうする?」
「好きにしろよ。それはこっちが望んでもそっちが望まないと効果はない。シュドウがそれの対を持っている。好きにしな」
「ふざけるな。こんなものいらん。私が友と呼べるのはこの世に一人、本気で仕えたいと思えるトリアイナ様だけ」
「トリアイナ!?」

黒い狼の言葉に反応し、そのまま狼に近寄った。

「確かに今、トリアイナって言ったよな」
「貴様! トリアイナ様を狙うものか。それならば殺してでも止める」
「違う。オレはトリアイナを救いたいんだ」
「救いたい? 何を言っている。トリアイナ様は魔王に拾われてこの魔界で暮らしている。強制はないと言っていた。いたいからここにいると言っていたのだから救う必要はない」

驚きしかない。

トリアイナは魔界にいるべきではない。だから救いたいと思っていた。そう決心していたんだ。だというのにそう言われるとオレは何をするべきなのか迷う。

すでにこの魔界はトリアイナの居場所になっているのか。

そしたら救うの定義は何だ? 何から救うんだ?