ハフピスライン

「その焔は完全にお前の体を焼いた。再生しても焼き尽くす。チェックメイトと言いたいが、まだチェックの段階か。まだ何かあるんだろう？　サイスマス」

魔王は黒こげのサイスマスに言う。
しかし私の目から見てももうサイスマスは終わり。何を思ってまだ何かあると魔王は言っているのだろうか。

「……さすがだ。それがエリウルの焔。この世、最強の炎と呼ばれ、焼きつくせないものはないと恐怖された炎だ。しかしこの俺様には無意味！」

サイスマスの声はするがすでに炭となったサイスマスではない。そして炭から炎が無くなったと同時にサイスマスがテレポートして現れた。その体には火傷の痕は一切ない。

「ほぅ、まさか空間回帰まで使えるとは。面白い、今まで吸収してきたハーフの魔力、全て使い切るまで殺し続けてやるよ」
「これはこれは、空間回帰を知っていたか。それにこれに費やす魔力が吸収したものだということも理解済みか。しかし残念だな、俺様が吸収した魔力では数百回、空間回帰が使える。残念だったな」

空間回帰、それは知っている。負傷した体を負傷する前の体の戻す、治療とは違う高難易度で高消費の魔術。それを使えるのは一握りの者としかいないと言われている。

理解が出来ても魔力が足りない。それが大方の理由。理解も簡単なことではないが、それでも理解だけならそれなりに多いはず。

そんな空間回帰をサイスマスは数百回発動できるという。それは脅威だ。
魔王、さすがにそれだけの魔力、続くことはないだろう。あの黒い炎ですら空間回帰並に魔力を消費するのだろうから。