ハフピスライン

高々に、そして優雅に笑う王。それこそが魔王という蛙の王様とは違う真の王の姿。
全身から溢れる魔力は炎となり、この村を闇で覆えそうなほど法大に感じられるが、魔力に底を見いだせないという意味ではサイスマスと同様、いやそれ以上だろう。

しかしあの炎、さっき私が出した白い炎に似ている。白と黒の選択権があり、無意識に選んだ白だったが、もし黒を選べばあのようになっていたのか。

「ふふ……ふふふ、あははは。いいぞ、理想的な展開だ。貴様が魔王ならば、倒せば俺様が王になれる!」
「最近ではいなかったからな、来い挑戦者。自らを王と名乗りたいなら実力で取りに来い。魔王と呼ばれるオレは甘くないぞ」
「すぐには殺さない。貴様を殺し、カオスワルドに貴様の死体を送ってやる。そして俺様が魔王だぁ!」

邪悪な魔力を一気に解放しサイスマスが姿を消す。 
すでに私の眼に終えるレベルではなくっている。

「その程度で王を名乗るのか? お前の取り柄は死なないことだけだな」

魔王が両手を広げた瞬間、黒い炎が燃え上がり、空間を燃やすかのように広がって行く。

「何!? ぐ、ごほ」

黒い炎の向かった先、それはサイスマス。槍のように鋭く伸びた炎はサイスマスの体を突き刺さっている。

そして治療の余儀なく黒い炎がサイスマスに焼き移り、全身を焼き尽くしていく。治療すら追いつかないし、再生も不可能なほど。

これでサイスマスは終わりだろう。