ハフピスライン

「何も変わらないんだよ、全て吸収してやる」
「やってみろよ。面白いことが起きてるぞ」
「何……バカな、そんなはずはない。魔吸石が……破壊された? 貴様、何をした」
「面白いだろ? この炎、オレの意思で邪魔と判断するもの全てを消し去ることのできる炎だ。もちろん、オレの魔力を吸収した魔吸石は破壊される」

魔王の言葉は本当か分からなかった。ひょっとすれば偽りかもしれないと思ったが、魔王の魔力が吸収されてないことを考えると合っているのだろう。

しかし、そんな炎の魔力を持つとはさすが魔王ということか。しかも解放される魔力は私にこそ敵対心はないが、サイスマスにはひどく突き刺さっているだろう。
そのせいか驚き、言葉も失っている。

「ま、まさか……その炎は“エリウルの焔”だというのか。そんなはずはない、スパーダンテは死んだはずだ」

驚きながら答えるサイスマス。

聞き覚えないの言葉、それはエリウルの焔とスパーダンテという言葉。でもスパーダンテ……それは聞いたことない。

「なるほど、その時代から生きているのかヤンキルガ・サイスマス。まぁ常識ではあるか」
「まさか貴様、スパーダンテの息子かっ! 魔王の子にして、現在の魔王!」
「ご明答。オレはカオスワルドに住む、この現在の魔王、フレイル・グローアース。父、スパーダンテ・グローアースから正式に魔王を継いだ、真の魔王だ」