ハフピスライン

あれで本気ではない？　確かに魔力を解放できないのだから本気ではないだろう。しかしだからこそ、本気を出すということは魔力を吸収されるということ。

「本気だと？　お前の出来る精一杯がいまだろうが。魔力を吸収してやるよ。やってみろ！」
「安い挑発だ。しかし乗ってやるよ。後悔しても遅いぞ!!」

魔王の解放はまだ始まっていないがその予兆で感じる。

突如目を隠されたような、光を失ったような感覚。それが今、予兆で起きている。それほどまで漆黒の魔力を感じる。その魔力の前では何もかもが無意味なような気がする。
だから、魔力を放出しても吸収されないということか？

「無駄だっ！　もう吸収は始まっているぞ、なかなかの魔力だが無意味」

どうやら魔王の魔力については私の感覚でしなかったようだ。やはりサイスマスの前では無意味、吸収される。

「まだ、これからだ。その程度の魔力くれてやる。着火に少々時間がかかるからな」

しかし魔王の笑みを浮かべ余裕で答える。
それにサイスマスは面白くないという表情のみで答えている。

「さて……ハーフに対し舐めたことをした。それは神が許そうともこのオレが許さない！　貴様への怒りの焔の火種は十分過ぎる。後悔しても遅いぞ、ハーフはこの世最強種族だ、このカエルヤロウがっ!!」

魔王の叫びの刹那、着火の言葉通り、全身から黒い炎の魔力を纏う。