ハフピスライン

「魔……いやフレイル。お前なのか」

離れた位置から呼んだ。

「やっぱり名前で呼ぶだろ? オレ以外にこんなこと出来るやついないだろ」

激しくぶつかり合う中、姿を現して余裕の表情で言う。

「他所見をする余裕があるのかぁ!」

怒り狂うサイスマスが降り注ぐ雨のように魔力を放出する。その範囲は魔王だけではなく、私にまで及ぶ。
そう悟った瞬間、避けようと全神経を足に集中させるがそれでも遅い。

「だから退けと言ったんだ」

私は抱えられて空を飛んでいた。その視線の先には魔王がいて、呆れたように笑っている。

魔王の顔を近くで見るのは初めてだった。しかし本当にハーフで何か偽っている感じはない。

それにしてもこの模様……どこかで見たような感じがする。

「本当に魔王なのか」
「他にあり得ないだろ? とりあえず、誰にも言うなよ?」

そういって離れた位置に私を下ろすと笑顔で砂煙の中へ消えて行った。
誰にも言うなよってことは誰も知らないのか。ヘルバーンやジョーカーですら。

しかしこれで理解する。なんで魔王がハーフの村の調査などしにきたのか。そして私と二人だけなのか。
 
まだある。ヘルバーンやジョーカーに隠れてまで来たのか。全ての謎は解ける。