男性は、私の手に握られていたスカーフにそっと触れた。


「・・・・・・」


涙が、溢れてくる。


見上げた男性の後ろには、あの時見えなかった青空があって・・・・・・。


私は、あの時キュウちゃんが打ったホームランのことを思い出していた。


青空に吸い込まれていった野球ボール。


「探していたんだ、ずっと。やっと見つけた。神風でも吹いたかな?」


男性は私の頬に伝う涙を、やさしく指で拭いながら困ったように微笑んだ。






ねえ、キュウちゃん。


私、今でもあなたのことが大好きです。




END