目の前の晴れやかな顔に、俺は耐えきれず視線を外す。



「オニイチャン、顔色悪いけど大丈夫?」


なんでもねぇよ。


「水でも飲む?あたし持ってこようか?」


その声であたしとか言うなっ、気色悪い!


「どうしてよ?」


…どうして、だぁ?



ったりめぇだろぉがボケっ!




「やだぁ…事実を受けとめる度量もないとか。

男としてどうかと思うよ?」



おめぇが言うなっ!





にんまりと人の顔を見つめているコイツを、殴りたいと心底思いながら。


グッと堪えなければならない、と思うのはきっと、認めたくはないが事実を認識しているせいだ。