慎太郎様




お手紙にて、失礼致します。


願わくば、貴殿の御心に私の想いの届かん事を……




生まれ変われるのなら、何になりたいか、と貴殿は私におっしゃいました。


私たちはあまりに、運命の神に嫌われたものです。



あの時、私は貴殿の質問にお答えすることが出来なかった。


その答えを、今、貴殿にお話したいのです。




生まれ変わったら、私は魚になりたい。


人は、海から生まれたといいます。


ならば私は、その海に帰りたい。


己の望むものに執着して、人は先に進みすぎてしまったように、私には思えます。


母なる海の懐に抱かれて、穏やかに、確かに、命の鼓動を鳴らしたい。