「バイバイ、咲季(さき)。」


小さく微笑んで手を振った。


永遠にさよなら。



最期に見たのがあたしの笑顔だったんだから、あんたの人生もまだ救われたんじゃない?




これでやっと、あたしは手に入れる。


ずっとずっと、欲しくてしょうがなかった。


あたしがヒロインの物語。





なのに。



すれ違う人の視線に不安を感じるのはなぜ?


誰も何も知るはずないの分かってるのに。


…咲季さえいなくなれば、全てうまくいくと思ってたのに。



ジワジワと追い詰められていくような気がするのはなぜ?



あたしはやっと、主役の座を手に入れたのに。



何もかもあの頃と変わらない。


あたしは陰のままなの?




答えてよ、咲季……