『この化け物がぁっ!』



その姿を確認した時には、半ば悲鳴を上げていた。




少女へ向かって、仲間の男が短剣を持った手を伸ばしていた。


その指先からメラメラと炎が上っていく。


舐めるように柔らかく体を包むと、がくりと膝を折り崩れ落ちた。





心の芯からゾクリと冷たいものが這い上がる。




…彼女がやったのか?




この死体の山を積み上げたのは、目の前の泣きじゃくる少女だった。


それは信じ難い、けれど動かし難い事実。




やっと、少女の言葉を聴き取る事ができた。



「あ、たしのせ…じゃない…」